うつ病とアルコール依存症ですが、人間です。

うつ病、アルコール依存症とは? 精神病院に入院治療、症状が治らず家庭崩壊寸前です。 しかし頑張れば人間、なんとかなるものです・・・かな?

精神科再入院(21)…ベートーベンの患者

 

 

(つづき)

 

 

 

年の頃は60代半ばだろうか。

 

天然パーマの白髪あたまに、上は黒のスーツ、下はジャージという奇妙なオジサンが現れた。

 

見た目から、皆は彼を「ベートーベン」と読んでいた。


彼はアルコールで脳が萎縮したのか、認知症なのか、とにかく独り言を言う。

 

しかも、滑舌が悪く、言っていることが聞き取れない。

 

内容も支離滅裂なのである。

 

最悪である。


「あのあれはもうせんからのじゃがしかし、そのときはもうワシはそうじゃのうじゃがのう……」

 

ブツブツブツブツと独り言を繰り返す。


さらに悪いことに、僕の部屋のとなりであった。

 

夕飯のあと、保護室にとじこめられると、すぐ隣から声が聞こえてくる。

 

「じゃけえもうどうしようもじゃがのう、ワシはそうじゃのうあれよあれなんだっかかのうもう……」


耳をふさごうが壁をけつろうが何をしようが、鉄格子でつつぬけなので声がまる聞こえなのだ。

 

眠ろうにも、独り言が気になって眠れやしない

 

イライラがつのる。

 


そうだ、歌をうたおう。

 

ひとりで歌をうたえば、独り言が気にならないに違いない。

 

僕は歌い始めた。

 

「ふたりで~ ドアをし~め~て~

 ふたりで~ 名前け~し~て~

 そのとき~ こころは なにかを~

 は~な~す~ だろ~うぉ~ぉ~」

 (また逢う日まで 尾崎紀世彦 作詞:阿久悠

 

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著作権 エヌ☆Tの氣まぐれ日記HPより

 


うむ、保護室の壁に声が反射してカラオケ効果を発して、実にあんばいが良い。

 

しばらく熱唱し、イライラが落ち着いた。

 

独り言もやんだようだ。

 


さて、寝ようか、と思うまもなく

 

、となりから「『』のようなもの」が聞こえてきた。

 

「ふぅたりぃでぇぇ~ どぅあうぉしぃ~めぇ~てぇ~ぇ~

 ふぅたりぃでぇぇ~ ぬぁまぇけぇ~しぃ~てぇぇ~」

 

アカン。

 


こりゃもう、どうにも、まったく逆効果だったようだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

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